市民活動支援センター 全国各地の状況調べ

 

 国から地方へ、地方から市民へ。

 地方主権の時代の主役は市民であり、その活動の舞台となる市民活動センターの設置が全国の潮流となっています。

 そして丸亀市においても今、設置の方向で検討が進められています。

 その設置形態、活動状況は自治体さまざまであり、本市にとってどのような姿が理想であるのか、全国の状況を参考に議論を進めることが大切と考え、このほど人口規模がほぼ本市と同程度の7市を訪問し、センターの状況を視察しました。

 

 ○視察期日 平成20年8月19〜21日

 ○視察地      

        1 広島県廿日市市
岡山県津山市
愛知県半田市
静岡県掛川市
静岡県三島市
東京都国分寺市
埼玉県戸田市

 

以下、視察順に報告します。文責はすべて内田にあります。

 

1 広島県廿日市市

 

 ○基礎データ

 

  ・名称 廿日市市市民活動センター

  ・根拠条例等

      廿日市市市民活動センター条例(平成17年)

  ・役所側の所管課

      自治振興部 地域協働課

  ・形態 旧自治会館を改修して整備

      運営体制の検討にあたって市民活動団体による市民ワーキング

      チームが参画。このワーキングチームを発展的に改組し、同セ

      ンター運営協議会を発足、運営に当たっている「公設市民運営」

  ・開館 9〜21時半

      日曜、休日、年末年始が休館(一部日曜日も利用可)

  ・貸し出し施設

      1〜3研修室、和室1

  ・特記事項

      ワーキングスペース、団体事務室、団体会議室を配置

  ・会員特典

      ☆HPなどで活動情報発信

      ☆センターの使用優遇(研修室、ワーキングスペース、印刷機、

       メールボックス、移動棚、専用ロッカー)

      ☆地域貢献活動保険の適用

 

 ○詳細

 

  ・1市3町1村合併で人口7万3千人から12万人に。面積は一挙10倍 

   に(480平方キロ)

  ・これに対応して部を設置。支所、公民館などを1つの部で所管。ここを

   まちづくり対策の部とする。

  ・平成13年「コミュニティ推進プラン」策定。当時の市長が「市民が主

   体的に地域づくりを推進する『住民自治』を考えてみるように」と職員

   に指示。しかし良い意見もなかったので「ならばいきなり市民と話をし

   よう」ということになった。

  ・昭和40年代からコミュニティ組織は存在するも当時から、市民は単一

   でありながらコミュニティと町内会連合会の二重構造という実情だった。

  ・小学校区単位でネットワークづくり。「フラットに語ろう」と円卓会議が

   始まった。一般公募でメンバーを募り、「地域に帰って活動したい」とい

   う人も参画。そこに役所も参画する。

  ・合併で、これまでコミュニティ組織のなかった個所でもコミュニティ組

   織づくりが始まった。

  ・円卓会議に臨むのは、町内会、コミュニティ推進協議会、公衆衛生推進

   協議会、地域安全協議会、学校や公民館、福祉組織、ボランティア組織、

   PTA、各種団体、企業、一般公募者、そして行政。

  ・地区別実施計画の策定。円卓会議のスタイルが奏功。特定役員に重い

   負担を負わせるのでなくフラットに地域課題に取り組む形ができた。

  ・そこに行政から各地区100万円の補助金。これを「仲良しグループ」

   で使う傾向もあったが、「使い道を説明せよ」との声も市民から上がった。

  ・そこで地区別計画を2年かけて策定。2年かけたことがよかった。

  ・合併により使われなくなった施設がある。「団体自治の建物を市民自治の

   建物に」と、センター設立への機運が盛り上がった。

  ・センターの機能への期待を語り、間取りから備品配備、使用のルールま

   で、市民参画で決定。

  ・その結果、24時間オープン(当初)、飲酒もOK、視覚・聴覚障害者に

   も来てもらい、パトライトや電光掲示板までも設置した。これについて

   議会でも質問が出たが、「市民が決めた」という答弁で納得してもらえた。

   市民の使い安さを優先した。

  ・これまで市民の参加する会議は9時閉館とともに散会していたものを、

   まるで我が家のようにくつろいで使えるので利用が向上。

  ・駐車場は50台収容。週2〜3日は満杯。150団体が登録。当初見込

   みは50団体だった。

  ・全国にセンターが現在180あるが、ほとんどはNPO又はボランティ

   アセンターの機能に止まる。ここではそれだけでなく、「地域との協働を

   進めるセンター」とのコンセプトで臨んだ。

  ・平成17年、市民活動運営協議会が発足(参加15団体で構成)。これは

   建物ができる前。会議は2〜3月に1回を見込んでいたが、市民から毎

   月開催要望の声が。

  ・これまでいっしょに活動したことのない団体同士。活動に限界があった

   が、商工会青年会の参加により花火大会への取組が行われ、これを契機

   に連携がスムーズに。

  ・年に一度「センターまつり」を開催。市は手を出さない。そこに子育て、

   介護、レクリェーションなど、それぞれ専門団体が日替わりで相談窓口

   を設置。ここには「行列ができる」。それが日常活動の展開の場となる。

  ・市長のマニフェストの1番の項目が「協働」。

  ・これを受け、市職員も積極的に「まちに出る」。そのために、時間差出勤

   も可能とした。

  ・日常は市民活動のメンバーもいざ災害となれば日常活動を災害救助活動

   に切り替え、「市民災害対策グループ」に変身。「ウチからはトラックが

   出せる」など積極姿勢。これに企業も加わり始めた。

  ・人材育成策として、退職10年前の人々で「壮年チーム」を結成。「たむ

   ろする場所」を設け、そこからグループ化。料理に興味のあった人がそ

   ば打ちに挑戦し、そば店を開店したというエピソードもあり、この人は

   そば打ちで地域貢献をしている。

  ・日曜休館の考え方。あえて日曜日は休館とし、「日曜は家庭に」。しかし

   必要な場合は使えることとした。日曜日のセンター警備は上記壮年チー

   ムが担当。警備会社に頼まない。

  ・これまで、市役所には提案がない、と言われてきた。センターには提案

   も情報も、ノウハウもある。そして「聞く耳」がある。

  ・ノウハウを持つ人を職員に。パソコンソフトを作る人材も取り込み、1

   00万円仕事も10万円で。イラストが必要な場合も手書きイラストグ

   ループに依頼して教えてもらうこととし、プロなら1カット3万円かか

   るところを2000円で。このようにして市政に要望するなら1千万の

   ところを4分の1でやっている。テレビ関係に勤めた職員を雇い、古い

   8ミリ、16ミリフィルムに残された貴重な映像をDVD化する事業や

   映写会の開催。例えば「宮島おどり」の保存と教材DVDづくり。これ

   をNHKがやるなら300万円といわれるが、材料費だけでできた。新

   聞記者のOBも雇った。このことで記事を書くノウハウも。

  ・備品は買わない。もらってくる。

  ・市役所「地域協働課」がセンターに「間借り」している。

  ・市民活動総合補償制度の導入。限度1億円。活動スタッフのみが対象。

   ただし地域のまつりや一斉清掃では参加者全員が対象。年経費300万

   円。ちなみにこれを単発でかけると1件60万円、総額2000万円と

   計算される。掛け忘れも防げる。これを最大の魅力として登録する団体

   もある。

  ・団体の貢献実績。趣味サークルのような団体でも必ず地域貢献してもら

   う。貢献実績ない場合は登録抹消。例えばミュージカル団体。年に何回

   かは慰問を行ってもらう、など。

  ・自治体経営の構築。合併で5つの地域ができ、どのようにまちづくりを

   進めるかをワークショップで討論。これによって支所とセンターが連携

   できるようになった。5地域10人ずつで集い、発表会。ファシリテー

   ターの存在が重要。ここでもノウハウ持つ人が尽力。また公民館長は名

   ファシリテーターであることが求められる。

  ・市民によるこうしたワークショップに市職員も参加。そのことで「市民

   といっしょにやるといい意見が出る」と考えるようになった。市職員に

   とっても「気づき」のツールとなっている。

  ・公民館単位の「小円卓会議」、地域単位の「中円卓会議」、市民活動セン

   ターが行う「大円卓会議」の三重構造で、廿日市市は「双方向型地域協

   働モデル」を実現。

  ・従来の住民代表との形式的な会議で、団体の会長を集めても「下に伝わ

   っていない」。そこで「困っている人を集める」という手法に。

  ・上記「中円卓会議」のレベルで行政が関わる。市の策定する福祉計画も、

   ここで素地が出来上がる。「市はこんなことをしたい」「いやいやそんな

   の必要ない」「むしろこんなのをやってほしい」と生活者の声が福祉計画

   に盛られることになる。市民とのキャッチボールをカタチに。

  ・これを次には防災の場面でやろうとしている。

  ・職員は毎晩、市民の中へ。「市民の中で、予算をつくる」。やがて総合計

   画もここでつくるようになりたい。

  ・協議の場に「顔見知り」がいれば、それが信頼を生む。

  ・市職員に優れたファシリテーター能力が望まれる。

 

 ○感想

 

   全国7箇所のセンターを巡る3泊4日の旅。

   のっけからものすごいインパクトを受けました。

   整然としたパワーポイントでの詳細な説明。質疑応答を終えて担当者に

  一言、「一度、ウチの市にも講演に来ていただけませんか?」と切り出すと、

  「あちこちから要請いただいてます」と。

   その後館内を一巡、案内いただきました。

   市民が自ら間取りや備品まで考案したという1階から3階までのスペー

  スは、いかにも機能的に工夫されている印象。そして既存の移動棚なども

  残さず有効活用し、独自性に結び付けているのには感服。

   市長がマニフェストのトップに「協働」を掲げ、合併新市のまちづくり

  の困難さをチャンスととらえ、職員の能力向上も総合計画の達成もすべて

  市民との関わりの中でやってのけるというすがすがしさ。

   採用された「円卓会議」という発想が、おそらくそれらの成功のキーワ

  ードなのだと思われます。

   まちづくりは、スイッチを入れれば自動的に動く機械のようにはいきま

  せん。号令でも魔法でもない。しかしまた「汗と努力」があればできると

  いう精神論根性論でもない。行政と市民力をいかにマッチングさせるかと

  いうネックをうまく捉え、知恵と工夫、人材と発想で、成果を開花させた

  ものと思います。

   成功ストーリーを部分部分で頂戴することも良いことですが、それ以上

  に、どこか根本的な「構え」を、廿日市市に学び、考えなければならない

  と思いました。

 

レポートTOP

 

2 岡山県津山市

 

 ○基礎データ

 

  ・名称 つやま市民活動センター

  ・根拠条例等

      津山市コミュニティセンター条例(平成13年)の中に位置づけ

  ・役所側の所管課

      地域振興部 協働推進課

  ・形態 旧民間施設を買い取り、改修して整備

      公設、NPO法人つやまNPO支援センターが管理運営。

  ・開館 9〜22時

      月曜、年末年始が休館

  ・貸し出し施設

      大ホール、会議室、和室各1

  ・特記事項

      市中心部からほど近い郊外に設置された津山市コミュニティセン

      ター「あいあい」の施設に入居。この施設の管理運営を請け負う

      とともに市民活動センターを運営。ほかに県からの委託事業も受

      託している。

  ・会員特典

      ☆貸し出し施設の優遇

      ☆印刷機、コピー機

 

 ○詳細

 

  ・平成10年、台風10号で大被害。復旧ボランティアから市民活動セン

   ターの必要性の声があがる。

  ・12年、市民活動団体有志で「つやま市民活動支援センター設立準備会」  

   が結成される。同年、調査結果をもとに、センター設立と市民活動への

   支援について市長に提言。

  ・13年、「つやま市民活動支援センター開設準備会」を結成、86団体に

   呼びかけ、37団体が呼応。同年、「つやま市民活動センター運営委員会」

   を設立。

  ・14年、市が「津山市コミュニティセンターあいあい」をオープン。同

   時に運営委員会が管理運営を受託。「つやま市民活動センター」を開設。

  ・18年、運営委員会を改組、NPO法人つやまNPO支援センターに。

  ・センター利用登録団体は現在86。

  ・センター設立に際し、当初は商店街の中も候補地となっていた。結果、

   中心からは遠いが駐車場の広くとれる(70台)現地に決定。

  ・これまでの経緯の中で、理事長S氏の存在と貢献が大きい。災害ボラン

   ティアのリーダーを務めた経験からコミュニティの必要性、市民活動団

   体の重要性を市民や市役所に呼びかけ、今日のセンター設立の道を開い

   た。彼の持論は「市民活動の活発なところでは災害からの再生も早い」。

  ・県(県民局)からの受託事業、「交流メッセ・つやま」など3件を受け持

   つ。この業務が大きなウエイトを占める。岡山県3域(津山・真庭・美

   作)の交流事業で、年に7〜8回の会議のほか事務連絡の業務がある。

   施設に備える大ホールもこの催しで役立っている。

  ・担当者談。活動が進むとともに専門化していく傾向があり、ベースを忘

   れることが懸念される。福祉、こどもなど目の前に問題があるからこれ

   に対応する、ということに追われ、ベースを忘れがち。「一人ひとりがい

   い市民に」というベースを忘れないようにすることだ。

  ・分野別の団体間の連携を密にしていくことがこれからの課題。

  ・総じて10年を1スパンとして、10年前と同じ課題が起こり、それに

   対応して同じようなことをしているという印象だ。後退があっても進歩

   していく考えが必要だ。

 

 ○感想

 

   1日目。廿日市市から岡山に戻り、ここから北上して津山へ。

   上記のとおり、駅から歩くには少し遠い位置。かつて卸市場だった施設  

  を改装リニューアル。この経緯から、広いスペースを活用し、イベントに

  はもってこいの大ホールを備えているのが特徴。

   平成10年の台風災害が市民活動を目覚めさせた、ということを聞くと、

  あの阪神大震災を想起します。市民活動の重要性を災害復興から発想。小

  さな町に大きな人材がいて、その「一人」から、市民活動が伝播したとも

  いえます。

   まったくの民間人がその意識をエネルギーに各地を調査、市民アンケー

  トも実施。波動を呼びつつ人は集まり、それらをまとめて市長に提言。行

  政がすべきだ、との意識を脱却した一人の市民が、まちづくりの主人公で

  あったということです。行政が主人公ではなく。  

   説明を担当くださった館長さんもその方と二人三脚の相棒だったようで、

  市民活動の盛り上がりも硬直化もシビアに見ておられました。お立場は、

  昼間は市の嘱託職員、夜はNPOの事務局長、とのこと。

   また平成13年、運営委員会が発足した頃には、テンションは高かった

  がまだ何もノウハウを持つ者はいなかったと伺いました。

   建物を探すよりまず「人」を探すこと、ということでしょうか。

  

レポートTOP


3 愛知県半田市 

  

 ○基礎データ

 

  ・名称 半田市市民活動支援センター

  ・根拠条例等

      半田市市民交流センター条例(平成17年)の中に位置づけ

  ・役所側の所管課

      市民経済部 市民交流センター(これが部署の名前)

  ・形態 名鉄知多半田駅と通路でつながった複合ビル3階に入居。

      このフロアに市の部署である市民交流センターが入り、

      ☆子育て総合支援センター「はんだっこ」

      ☆市民活動支援センター

      ☆市民交流プラザ

      の3業務を展開している。

      公設、公営

  ・開館 9〜22時

      第4水曜(ビルの店休日)、年末年始が休館

  ・貸し出し施設

      市民活動ルームA〜D、印刷・作業室(印刷機、帳合機、裁断機、

      製本機、紙折機)、ロッカールーム、情報コーナー、市民交流スペ

      ース、コピーコーナーなど

  ・特記事項

      1、2階はテナントの入る商業スペース。ビルそのものが3階部

      分で駅とつながった「クラシティ半田」というビルであり至便の

      立地。

  ・会員特典

      ☆市民活動ルームは無料

      ☆印刷・作業室、ロッカールームの提供

 

 ○詳細

 

  ・駅前再開発が発端。駅前のこの土地の地権者で組合。市も地権者であり、

   その経緯から3階部分を市が買うことになった。

  ・名鉄の駅前はこれまで寂しい場所。どうやって駅前の賑わいを作るか、

   また商店街との連携、1、2階テナントとの連携など、駅前再開発に伴

   う分野外の特殊な使命も帯びることとなった。そのことから、より多く

   の市民や団体を巻き込むことが望まれた。多くの人を呼ぶことがテーマ

   とされた。

  ・半田市は古くから商業の街、酢の製造で有名な「蔵の街」。そこから駅前

   に完成した商業ビルは「クラシティ半田」とネーミング。銀行も2行入

   居している。

  ・この好立地にまず子育て支援センターを入れることにした。

  ・交通至便であることから、貸室の案が出たが、それならば市民活動のス

   ペースにという案が急浮上。そこで子育て+市民活動という方向が確定。

   通勤通学客も訪れる場所であることから市民交流プラザのスペースも確

   保。

  ・今から3年前に、市庁舎内に市民活動支援センターができたばかりだっ

   たが、ここに出てくることが内容白紙に近いまま、決定された。

  ・今年7月に、ここに社会福祉協議会、ボランティアセンターも入居した。

   市民活動センターとボランティアセンターの区分、役割分担も整理がつ

   かないままの発車であった。

  ・本来、市民交流センターなのだが、立地が良すぎ、市民はここに市全体

   の総合窓口があるように感じているようだ。それで観光客も知らずに問

   い合わせに訪れたりする。

  ・市職員11名が子育て支援担当、市民活動・男女共同参画担当の2担当

   に分かれて事務分掌している。(ほかに臨時職員)

  ・子育て支援担当は、子育て支援諸事業のほかファミリーサポート、一時

   預かり、子育て支援ボランティアとの連携などを行っており、市民活動

   支援センターはむしろこちらに来る客や子どもらの賑わいで華やいだ明

   るいムード。

  ・市民活動・男女共同参画担当は、後述の市民活動支援事業のほか、市民

   相談、NPO、男女共同参画の各事業も行っている。

  ・市民活動支援に関する事業。各種イベント・市関連情報の発信、ボラン

   ティア活動グループ紹介、講座開催(「もっと元気な駅前づくり」ワーク

   ショップなど)、市民活動支援コーディネーター、社会福祉協議会ボラン

   ティアセンターとの連携、駅前フェスティバルとの連携、市民・学生と

   のフィルム作製(古いフィルムのDVD化)、ボランティアフェスティバ

   ルとの連携、中心市街地商業活性化にぎわい事業への参画、市民活動拠

   点提供事業、市民交流プラザの運営などを行う。

  ・登録団体110

  ・市民団体の活動拠点であると同時に、行政側から市民に持ちかけたいこ

   とがあればまずここに持ち込むようになった。ここから双方向の協働が

   実現。

  ・ボランティア活動コーディネーターで「人をつなぐ」効果は大。ボラン

   ティアコーディネーターの方が時間が空いているときに、市民活動のコ

   ーディネーターもしてもらう。このことで情報と人脈を活用。市民活動

   側は大いに助けられた。

  ・半田市にはNPOが24ある。これは県下で4番目に多い。一面では、

   その原因は市役所の福祉行政が「何もしなかった」から?

  ・ドブイタ窓口。市民活動の中心にいると活動上のさまざまな課題やニー

   ズが市民から届く。これを広報公聴課に回し、ここが各課に振り分ける。

   この作業により、協働の時代が役所のスピードアップ、対応の良さを生

   んだ。

  ・今後は地縁団体とNPOとの交流が課題だ。例えば日赤奉仕団活動など

   は両者のブリッジになるだろう。

  ・この点、知多半島の自治体では半田市だけが、地縁団体とNPOとが分

   離している。他市では両者をつなげる動きが盛んだ。

  ・また社会貢献とどうつなげるかが課題だ。「社会貢献」がキーワードとな

   る。

  ・さらに市民活動センターと社会福祉協議会・ボランティアセンターとの

   ますますの連携が望まれる。

  ・市民と直接接する部署。「ここで働けば市職員も変わる」。新しい職員に

   ここで働いてほしい。

 

 ○感想

 

   駅前再開発にからめて市民活動の拠点が整備できたことはまことに幸い

  であったろうと思います。にぎわい創出の必要性から、まず子育て支援セ

  ンターを入れ、次に市民への貸館を考え、それならば市民活動センターを

  とわずか3年前に本庁舎に整備したものを思い切ってこちらに移し、さら

  にボランティアセンターや社会福祉協議会を入居させ、市の部署をもここ

  に設置したという経緯は、結果的に見ればまことに順風な運びに思えます。

 「人が集まる場所」という観点からは、またとないシチュエーションが準

 備されたわけです。

  その、あまりの好立地から、市民は市の総合窓口だと思い、また観光客

 は観光案内所だと思って訪ねて来る、と、スタッフの皆さんはうれしそう

 な困り顔をしておられました。

  客観情勢はこのようでありましたが、ここでもやはり、市民活動センタ

 ー設立には人的な恵みも少なくなかったことをお聞きしました。

  余談となりますが、この日は半田市内で一泊。ホテルに着いた私に連絡

 が入り、まちづくりに尽力される地域の有名人と、昼間ご案内いただいた

 センターのスタッフの皆さんのお招きで、夕食を共にさせていただきまし

 た。まったく思いがけない幸せでありました。のみならず、翌日、電車の

 時刻まで、市観光協会の事務局や、市役所でたまたま開催されていた大学

 生のためのインターンシップの教室にも招いていただき、それはもうこの

 上ない勉強をさせていただきました。

   半田市滞在約20時間。半田の街と人情を深く味わわせていただき、立

  場の異なるそれぞれの方々がまさしく「協働」でまちづくりを進める姿に

  心から感服したのでした。

   駅前のにぎわい創りは、ハコモノ投入でやすやすと出来上がるものでは

  ありません。労をいとわないこれらの方たちが活躍してこそのまちづくり。

  気持ちをひとつにできる仲間がいれば、苦労も苦労でなくなるものか。そ

  してそうした方々が集うとき、すでに「まち」は出来上がっているという

  ことなのか、と、さまざまなことを考えさせられました。

  半田市がたどったこのような経緯は、到底そのまま丸亀市に当てはめら

 れるものではありません。ただ、与えられた条件の下で、人はいかように

 でも知恵を働かせ、目標を達成できるものなのだと思います。

  市民との協働というとき、協働それだけを考えていてはならないという

 こと。景観もあり、都市計画もあり、福祉や教育、その他さまざまなこと

 を多角的に組み立てる力、いわば「ビジョン力」が必要であると痛感。

  「そういう人材が見つからない」という前に、まず集った人々で考え始

 めることだと思いました。



レポートTOP

 

4 静岡県掛川市

 

 ○基礎データ

 

  ・名称 大須賀市民交流センター

  ・根拠条例等

      掛川市市民交流センター条例(平成20年)

  ・役所側の所管課

      地域振興課 市民協働支援室 市民活動支援係

  ・形態 合併に伴う市役所支所設置で支庁舎に入居。

      公設、運営協議会が運営を受託

  ・開館 9〜18時(申請により、22時まで利用可)

      火曜(隣接の公民館と曜日をずらした)、年末年始が休館

  ・貸し出し施設

      ミーティングルーム1〜3、会議室、印刷室、ロッカー、

      メールボックス、情報コーナー、活動スペース

  ・特記事項

      農協も入居する市支所の複合建物の2階部分。

      NPO法人設立相談会、生活設計セミナーなどのソフト事業

  ・会員特典

      ☆ミーティングルーム利用無料

      ☆印刷・作業室、ロッカールームの提供

      ☆会員は夜間、アポなしで利用できる

 

 ○詳細

 

  ・合併協議の中で、新市の重点プロジェクトのひとつに「市民活動支援体

   制の充実」が盛り込まれた。

  ・新市建設計画の中にも、「住民の意思と活力に支えられたコミュニティー

   活動や交流活動の盛んなまちを実現する」と謳われた。

  ・これらに基づき、合併前の町である大須賀、大東の各支所に市民交流セ

   ンターを設置することを決定。大東地区では旧建物を利用し、空き室と

   なったスペースを活用。大須賀地区では旧建物を取り壊し、このほど新

   規に建設。1階部分を市役所支所と農協、社会福祉協議会、シルバー人

   材センターが入居、2階部分を市民交流センターとした。

  ・今年4月1日オープン。

  ・同4月10日、センター運営協議会を設立。行政から呼びかけ、呼応し

   た14団体で構成。

  ・現在、登録団体71(69団体、2個人。大東センターとの共有)

  ・複合施設の強みとして、来所者集中が見込める。

  ・センターで市民作品展など開催し、親しんでもらう。1階支所来訪者に

   も2階催し物を案内するなど工夫。

  ・夜間、登録団体はアポなしで使用可能としたのは登録促進のためと同時

   に登録団体へのお礼の気持ちも込める。

  ・大東センターとの相互乗り入れ。両方とも利用できる。

  ・支所内の案内看板は、支所よりもセンターの案内を大きくした。

  ・登録要件である公益性に該当しない団体の登録は断っている。

  ・今春オープンしたばかりで、NPOはまだ1団体のみ。市民活動の発展

   やセンター運営についてのノウハウは役所にも民間にもなかった。運営

   協議会も市から呼びかけ、14団体呼応でようやくこぎつけた。

  ・指定管理者移行も現時点では難しい。

 

○感想

  

   半田市を出て列車を乗り継ぎ。こだま号の車窓からパラボラアンテナの

  ような光るものが見えましたが、それが掛川市役所であったと到着してか

  ら知り、まず驚き。その光る部分が議会の議場であったと知ってさらに驚

  き。そして本庁舎内を案内いただき、ユニークな設計にますます驚き。

   本庁舎から車で30分ほど茶畑を走り、大須賀市民交流センターの入る

  支所の建物に到着。丸亀市における綾歌市民総合センターに似た距離感。

  そういえば1市2町が合併して11万人都市となったことも共通していま

  す。合併期日も平成17年4月1日。丸亀市とわずか数日の違い。お城の

  ある町であることも共通。ただし面積は掛川市が2倍以上です。

   真新しい新支所庁舎は掛川城や町屋をイメージした色とデザイン。旧町

  役場があった場所で、公民館、図書館など主要建物も近隣に集中。それら

  の建物の中にあってひときわ輝いていました。

   上記のように、丸亀市と似通った背景の市町合併が同時期に行われたわ

  けですが、合併協議と新市建設計画の中に盛り込まれた「市民活動支援」

  をこのような形で実現させたことに敬意。インフラはできたけれども中味

  はこれから、と謙遜されておりましたが、ここ掛川市もこうした客観情勢

  にうまく乗り入れ、市民活動支援の素地を作り上げることに成功したとい

  えましょう。合併特例債や基金を活用し、建物建設に5億円余を投入。市

  民交流センター単体でこのような財政措置は到底見込めませんが、「天の

  時」を活かした結果です。

   確かに、これだけインフラが整えば、この広い空間と地の利を、いかよ

  うにも活用発展させることが可能と思います。

   登録71団体・個人という数字は発足間もないにしては着実に伸びつつ

  あるものと思います。しかしそこには個別差があるそうで、内容充実はま

  さにこれからとのことです。

   さて、ここまで来ましたのでお言葉に甘え、もう一方の大東地区の交流

  センターにも案内いただきました。こちらは旧庁舎の活用。合併で空き部

  屋となった空間はとても多く、交流センターとして十分すぎるほど。これ

  から活発になる市民の活動を待っているかのようでした。

   そして団体登録を各センター別にせず、相互乗り入れが可能としたとこ

  ろが工夫点だと思います。旧両町、市民の交流で、両センターが結びつく

  ことを想定しているのだろうと思います。

   この旧庁舎がまたユニークで、円筒形の部分の最上階が展望台になって

  おり、太平洋も富士山も一望できます。

   市役所到着の時点から、やることなすことが大胆であるなあと感嘆しま

  したが、これは目にする光景が、太平洋と富士山、瀬戸内海と讃岐富士、

  この違いでもあるのでしょうか。

   わが丸亀市は丸亀市オリジナルの手法を編み出し、市民活動と市民交流

  の輪を強く、大きくしていかねばならないと感じました。



レポートTOP

 

5 静岡県三島市

 

 ○基礎データ

 

  ・名称 三島市民活動センター

  ・根拠条例等

      三島市民活動センター条例(平成19年)

  ・役所側の所管課

      地域振興部 地域安全課 市民活動センター(部署の名前)

  ・形態 大型店撤収に伴う再開発ビルに入居。

      公設、公営

  ・開館 9〜21時

      年末年始を除き年中無休

  ・貸し出し施設

      会議室1〜3、活動スペース

  ・特記事項

      21階建て再開発ビル4階部分。

      子育て支援センター、ふるさと歴史文学コーナーも入居。

  ・会員特典

      ☆会議室無料(入場料を取らない場合)

      ☆印刷室の備品使用は無料

      ☆メールボックスの利用

 

 ○詳細

 

  ・市民活動センターは平成14年に設置。当初はNPO・ボランティア情

   報センターの形態で生涯学習センター内に。その後市役所本館に移転し

   市民活動支援事業を開始。次に3セクビルのテナントとして入居。平成

   17年、現在地に移転。このとき名称を現在のものとした。

  ・大型店ヤオハンが平成10年に閉店。昭和47年の開店以来、三島の中

   心地のシンボルだったものが消えた。その後も長い空き店舗状態が続い

   ていたが、やがて再開発の計画が進み、平成17年4月、「三島本町タワ

   ー」が完成。1〜3階は商業施設、4階に市民活動センター、子育て支

   援センター等、5〜21階は141戸の住宅。

  ・市がワンフロアを買い取ることとなったとき、これを何に充てるかが議

   論となった。結局、市民から要望の多かった子育て支援センターと市民

   活動センターに決定。

  ・年中無休(年末年始除く)。1階のマックスバリュが年中無休であること

   から。夜間と休日の運営はシルバー人材センターが対応する。

  ・センターが展開するソフト事業

   @出前講座…ボランティア精通者に学校に行ってもらう事業

   A事業の手伝い…ふるさとガイド、イベントへの協力など

   Bボランティアフェスティバルの開催…活動団体のアピールなど年1回

  ・事業として、NPO育成の中間支援などやるべきと考えているが、まだ

   そこまで到達していないとのこと。

  ・登録176団体。NPO法人46、ボランティア団体130。地縁の自

   治会などは、タワー周辺のもの以外は登録していない。

  ・サークル活動的な団体もあるが、排除しない。なるべく外に向かって活

   動していくよう、話をしている。

  ・現在は直営だが今後指定管理者制度に向けて準備中。「ボランティア連絡

   会」を作っているが、団体の連合組織の域。指定管理者となることは現

   在のところ難しい。

 

○感想

 

  ほんとうに、各市それぞれのご事情があるものです。

  三島市の市民活動センターはボランティア活動の拠点というところから

 出発したことがわかります。平成14年設置というところから、いま私た

 ちの言う市民活動センターの出発というより、古くからのボランティア活

 動の動きが市民活動のかたちに包摂されつつあるという姿なのでしょう。

  そのことから、市民活動支援という色彩はまだ薄く、それゆえに条例に

 も施設名にも「支援」という字がないのかも知れません。センターが展開

 しているソフト事業の内容を見ても、そのことが裏付けられるようです。

  しかし一方で、ヤオハン撤収の跡地に聳え立った21階建てのタワーの

 ワンフロアを市が買い取ったときに、そこに市民が求めたのは子育て支援

 と市民活動の場であったことが、市民の意識を物語っているようにも思い

 ます。

  今回の視察も三島市で5ヶ所目。担当者の方と語るうち、前の○○市で

 はこうでした、などという会話にもなり、まるで市民活動評論家のように

 なってきました。

  さて、丸亀市にも駅前再開発という問題はあり、現に市が保有する再開

 発ビルというものも存します。しかし正直申して、あの立地を丸亀市の市

 民活動の拠点に、という発想は、私は持ちかねています。よくよく考える

 と、それは決して不利なものではないと思うのですが。

  三島市にあっても、車で集う市民の駐車場はどうするのかというときに、

 このタワーに隣接して270台程度収容可能な駐車場建物が準備されまし

 た(ただし5階から上の居住者が占有する部分も多い)。買い物をすればタ

 ダになるというシステムですが、私はかつてある市民から、「こちらはボラ

 ンティアで行くのに、どうして駐車代を払わねばならん?」と指摘された

 ことを思い出します。そして津山市が、一度は繁華街に候補地を挙げなが

 ら、少し郊外の駐車スペースを十分に取れる場所に決定したことも思い出

 されます。丸亀市の駅地下には駐車場が十分に準備されていますが、さて

 市民活動に来られる市民の皆さんが、駐車料金を支払ってまで、というこ

 とを了解してくれるのでしょうか。そんなことから、駅前ビルは私の頭の

 中で候補地からはずれているのですが、これも再考の余地がありそうです。

  市民活動センターのフロアには、ふるさと歴史文学コーナーも、かなり

 のスペースを占有しています。これから市民活動の機運が盛り上がり、現

 在のレイアウトでは間に合わなくなったときには、ここも市民活動に転じ

 る可能性があるようにお聞きしました。なるほど、それは適切な判断かも

 しれません。

  こうして順次訪問を重ねていくうちに、次第に問題点が浮かび上がって

 きました。どこか類似のケースをそのまま真似て成功するのではなく、と

 りわけ「人的」問題は真似のしようもないわけで、丸亀方式をあれこれ試

 行、議論しながら実現していくしかないのでしょう。しかし何点か、共通

 する問題点があることに気づき始めました。それは7ヶ所すべての報告を

 終えて、まとめて考えたいと思います。




レポートTOP

 

6 東京都国分寺市

 

 ○基礎データ

 

  ・名称 こくぶんじ市民活動センター

  ・根拠条例等

      こくぶんじ市民活動センター事業実施要領(平成16年)

  ・役所側の所管課

      市民生活部 協働コミュニティ課

  ・形態 教育委員会などが入る分庁舎に入居。

      公設、公営

  ・開館 9〜17時

      年末年始が休館

  ・貸し出し施設

      ミーティングルーム1

  ・特記事項

      市庁舎の耐震改築に伴い現在の場所へ。

      立地は手狭だが豊富なソフト事業を展開している。

  ・会員特典

      ☆ミーティングルーム利用無料

      ☆印刷機、コピー機、紙折り機、パソコン、レターケース、プロ

       ジェクター提供のほか活動用ジャンパーも貸し出している。

 

 ○詳細

 

  ・平成16年、市庁舎内に市民活動センターを設置。

  ・本庁舎の耐震改築の必要のため、本庁舎に入っていた部署が現在仮設庁

   舎に移っている。今年2月、市民活動支援センターも移転。JR国分寺

   駅から5分の位置にある「国分寺ひかりプラザ」5階に入居した。

  ・教育委員会ほかたくさんの部署の入っている分庁舎で、手狭である。

  ・今年3月、市の機構が変更。文化コミュニティ課を文化のまちづくり課

   と協働コミュニティ課の2課とし、後者の課長がセンター長を兼務する

   体制となった。

  ・公設公営の形だが、公設民営化を目指している。

  ・市総合計画の中に「市民自治のまちづくり」が謳われ、これに基づき平

   成16年、市民活動センターを設置。5つのミッションを持たせた。

   @情報の提供…HP、メルマガ、機関紙、蔵書

   A活動の場・設備の提供…会議室、各種備品

   B研究・講座…市民活動きっかけづくり講座、スキルアップ講座など

   C相談・コーディネート…NPO設立相談、活動紹介など

   D交流・協働の推進…トークサロン、市民活動フェスティバルなど

  ・これまでの協働推進のための施策の流れ

   @市民活動団体との協働に関する指針(平成14年)

   A協働のしくみ「PDCA」の確立(平成16年)

   B市民活動団体との協働事業の手引き(マニュアル)作成(平成19年)

   C提案制度の導入(平成19年)

   D第三者評価制度の導入(平成20年予定)

  ・以上のように、総合計画を基礎とした協働推進の明確なビジョンが構築

   され、その仕組みづくりが急務なことから、市民活動センターがその中

   心を担うというはっきりとしたミッションの上にセンターが設置・運営

   されている。

  ・このことから、敷地的に手狭である現状はいたしかたないとして、他面、

   ソフト事業は実に充実し、整合性のある展開がなされている。

  ・ソフト事業

   @市民活動推進事業補助

   A市民活動団体活動支援・事業支援貸付利子補給制度

   →現在金融機関でも、NPO向けの金融商品が準備されている。これに

    対し、市も利子補給の制度を準備した。

   B市民活動きっかけづくり市民向け講座

   C団体向けスキルアップ講座

   DNPO法人設立相談業務

   →これには特別な知識が必要である。定款や予算決算の作り方など。

   E活動促進のための研究調査。他市の調査も行う。

   F協働の実践力育成に関する職員向け研修支援

   G市民活動、協働事業の事業報告会

   Hトークサロンの開催→役所も縦割りだが団体も縦で相互の連携が取り

    にくい。そこで団体同士の「協働」を目指す。

   I市民活動フェスティバルの開催

  ・上記BからGまでは選考提案型協働事業として実施している。あるNP

   O法人からの提案による。市も広報などで協働の手助けをするが、活動

   団体を主体とした動きである。

  ・メールマガジン毎月発行、機関紙「協働ニュースこらぼ」年4回発行、

   関連蔵書貸し出し。

  ・NPOフェスティバル、今年度は21年2月22日開催予定。

  ・センターの運営体制

   市協働コミュニティ課長がセンター長、協働推進係長が事務局長を務め

   るが、その下に正規職員1名、専属嘱託職員1名。この職員が実質チー

   フ的役割。このほか臨時職員スタッフ1名常駐し、窓口対応という体制。

  ・現在、登録団体数は155。広域的な内容の団体やサークル、互助会ま

   で内容はさまざま。今後「公共の担い手」となる団体を発掘、育成しよ

   うとしている。

  ・行動力の人(すぐ動く人)が多いのはありがたい。

  ・今後の施設拡大、充実が課題。200uくらいあればいいのだが。フリ

   ースペースも設け、「ふらっと来た人」を受け入れ、丸テーブルを設けて

   「何かやってみたい」との声に答えられるセンターとしたい。

  ・団塊の世代がいちばん出かける場所は図書館だという。こうした市民が

   ふらっと立ち寄り、自分のやりたいことをマッチングさせる空間となれ

   ばと考えている。

 

○感想

  

  視察4日目。三島市から東京に移動。よくよく行程表を見ると、本日、

 昼食の時間なし。いずれの訪問先でも、当方の行程表を見て驚かれる。特

 に国分寺市訪問では、昼食抜きなのを非常に気の毒がってくれました。

  同時に、前掲のとおり現在市役所本庁舎が耐震改築のため役所全体が臨

 時的な庁舎の住まい。「こんな狭いところにご案内して」と恐縮されていま

 した。

  それは十分理解でき、このような状況下に訪問してこちらこそ恐縮しま

 した。しかしながら説明を伺うと、どこよりもソフト事業が充実し、そし

 て総合計画から諸施策まで、すっきりと整合性があるのが印象的でした。

  上記に紹介した機関紙、協働ニュース「こらぼ」はバックナンバーまで

 恵与いただき持ち帰りました。またフェスティバルについては同センター

 のHPが参考になります。

  現在、公設公営ですが民営化を目指しているとのことです。先に訪問し

 たどこかのセンターで、やや自嘲気味に「市役所が何もしなかったから市

 民が力を出しているのでは?」と冗談を交わしたことがありましたが、な

 るほど、市役所がかっちりと仕事をすればするほど、市民は「お任せ」に

 なってしまうものでしょうか。もちろん、それが市役所はほどほどに、と

 いう理由にはなりませんが。

  国分寺市を訪問してお話を伺ううちに、「公共の担い手」となる団体の発

 掘、育成という言葉に接し、さらに問題点が整理されていくような心地が

 しました。あと5年ほどして、再びこれらのセンターを歴訪したら、それ

 ぞれ「成熟」の度をいっそう増していることでしょう。そして国分寺市の

 センターは新しい場所を得て、見事にその構想を開花させていることでし

 ょう。ここで伺ったしっかりとした理念は、そう思わせるものでした。「団

 塊の世代の方々がいちばん多く訪れるのは図書館だそうだ。そういう方々

 の『何かやりたい』に答えられるセンターに」。その理念と、「公共の担い

 手」たり得る団体の育成という構想とは、おそらく車の両輪をなすものと

 して、具現化されることでしょう。

  市民活動センターの成功の要件は、ハードの整備、ソフトの充実、市役

 所職員と市民双方の人材の発掘に加え、「構想の整理と共有」が大事なので

 はないかと思いました。

  視察先の各地でいただいた資料は膨大なものとなり、すでに前半部分を

 ホテルから自宅に送りました。軽くなった荷物ですが心配していただいて

 駅までセンター長さんが送ってくださいました。そして立ち食いそば店を

 教えていただき、遅い昼食をすませて再び電車に乗りました。


レポートTOP

 
7 埼玉県戸田市

 

 ○基礎データ

 

  ・名称 戸田市ボランティア・市民活動支援センター

  ・根拠条例等

      戸田市ボランティア・市民活動支援センター条例(平成18年)

  ・役所側の所管課

      市民生活部 コミュニティ推進課

  ・形態 市役所敷地内別棟に単独入居。

      市社会福祉協議会「ボランティアセンター」、市福祉総務課「ボラ

      ンティアプラザ」、コミュニティ推進課「市民活動支援センター」

      を融合した形態。

      公設、半公営

  ・開館 10〜20時(土日祝〜18時)

      第1、3、5水曜日(祝日除く)、年末年始が休館

  ・貸し出し施設

      会議スペース、情報スペース、交流スペース、作業スペース

      ほかにキッズコーナー、授乳室あり

  ・特記事項

      庁舎敷地隅にあった大型公用車車庫を改装した建物。

      ボランティア関連と合体運営。

  ・会員特典

      ☆印刷機、紙折り機、裁断機、ロッカー、メールボックス、プロ

       ジェクター、スクリーン、パソコン、提供のほか貸出し参考図

       書も充実。

 

 ○詳細

 

 ・平成13年、市民活動推進検討委員会の設置。6回開催。

 ・14年、市民活動推進懇話会の設置。9回開催。ここで「市民活動推進

  基本方針」を策定。

 ・15年、「基本方針」中の4つの重点施策の具現化のため市民活動推進委

  員会の設置。その1つ「拠点施設の整備」を担当する「市民活動拠点施

  設専門部会」。メンバーは団体有志、学識経験者など7名。ほかにオブザ

  ーバーとして市職員も参加。ちなみに4つの指針とは@活動拠点の整備 

  A情報ネットワークづくり B市民活動の活発化 C協働をすすめる体

  制の確立

 ・18年、センター開設。

 ・運営形態として、本来3つの機能を財政的省力化と機能充実のため1本

  化。施設のメンテは市が担当。市民、社会福祉協議会、市の3者が結合。

 ・18年、ボランティア・市民活動支援センター運営委員会を設置。原則

  月1回開催。同運営委員会と市、社協の合同運営の形。

 ・人員配置は社協職員2名、公募サポートスタッフ1名(10名から日2

  名のローテ)、サイトスタッフ1名(NPO法人から。3名から日2名の

  ローテ)。

 ・サポートスタッフは常時活動家。この人たちが口コミで利用者を増やし

  てくれる。イベント開催を通じ、関わってない人、関心はあるがやって

  ない人にPRしてくれる。

 ・サイトスタッフはパソコン相談をしてくれている。

 ・市役所敷地内という立地は市民が来づらいという一面がある。参考に、

  近隣では川口市やさいたま市が駅前複合施設の中に展開している。

 ・現在、登録77団体、個人13、計90。

 ・活動拠点の効果

  従来、市民活動団体が困っていたことは、

  @自らの活動をPRする機会がない。他の団体の活動状況がわからない

  A資料作成支援、活動の場の確保が難しい

  ということだった。設置後の効果として、

  @資料作成の場、会議の場ができた。

  A団体間交流が広がった。3者共同運営が奏功。

  Bコーディネート・相談窓口機能が、知識経験豊かな社協職員の配置に

   より実現した。

  C統合的なボランティア・市民活動推進事業の展開が可能になった。市

   の縦割り事業から、各課が進んで情報提供するようになった。

 ・今後は、上記「4つの重点施策」の融合、一体的推進、庁内関連部署の

  情報共有と連携強化、市民活動への支援策の検討、が課題となる。

 ・これまでの来館者の実態を見ると、午前10時、開館と同時に来館者数

  はピークを示している。今後開館時刻を早めることも検討。

 

○感想

 

  いよいよ最終訪問地。お迎えくださった担当者が私の旅の行程表を持っ

 ており、「ここまでで勉強したことを教えてくださいよ」と。

  当地の担当者の方も近隣先進事例をよく勉強しておられ、私がかつて訪

 問したセンターなどについて共通の話題が。

  センター内を案内していただいての印象は、その中の茅ヶ崎のセンター

 と雰囲気がよく似ていること。そのことなどで担当者の方と話題が盛り上

 がりました。

  大きな複合施設、駅前ビルなどに入居することで市民の「足」は至便に

 なりますが、ここは市役所の片隅、かつての公用バスの車庫だった建物の

 再利用。平屋建てで、広々とした、という印象ではありません。しかしど

 こか、親しみの沸く「アジト」というイメージが、茅ヶ崎のそれとよく似

 ているのです。また建物の一部は今も車庫として機能。次の段階として、

 一段と拡張されることになるのかも知れません。

  使用面積は139uとのこと。前の訪問地、国分寺の担当者の方が「2

 00uあればありがたい」とおっしゃっていたことと考え合わせ、このあ

 たりが理想の面積なのかと思います。子育て支援センター併設や大ホール

 を備えるとなればもちろん話は別で、そういう場合の敷地面積はここまで

 にも参考値として私は示しませんでした。旧町役場の利用、テナントビル

 への入居などの個別事情を差し引けば、純利用で200uが理想といえる

 ようです。

  外からの、センターへの足の踏み入れやすさ、入ってみての親近感。よ

 そよそしくない感じ。そういうものが大切で、ボランティアセンターを併

 設したこの施設ならではのキッズコーナー、授乳室、入口のスロープ、車

 椅子の準備、これまで見てきた新築の立派な建物の場合と引けをとらない

 多機能トイレなどが注目されます。

  床下のコード配線は、説明いただかなければ気づきませんでしたが、レ

 イアウトの段階から綿密に練られた設計であることを知らされます。

  立地条件でハンディを背負っているように伺いましたが、前述の3者融

 合の運営形態のメリットを最大に活かし、経験豊かな職員、活発に動く市

 民活動家、パソコン相談などでのNPOからの派遣人材で利用人口をカバ

 ーしているように思えます。

  これまでの経緯を伺うと、スタートは平成13年。市民有志を募っての

 時間をかけた議論で練られた明確なセンターの位置づけ。示された4つの

 基本指針を、これからどのように有機的に結びつけるかが課題という説明

 に、未来の進路もすっきりしていることを感じました。ここには、市民活

 動が必ずクリアしなければならない課題、地縁団体と市民活動団体とをど

 う結びつけるか、という課題に取り組むことも含まれています。

  ホームページにはブログも開設。市民活動情報誌「TOMO」も発行。

 オープニング行事ではこれまで活躍してきた団体に手作りの表彰式。副賞

 には戸田市の発行する地域通過「オール」を進呈。その後も掲示板掲載回

 数の多かった団体を顕彰、ホームページアクセス2万人目など「キリ番ゲ

 ット」の方にも表彰。昨年はかの、改革派で知られる元志木市長、穂坂邦

 夫氏を招いての講演会。工夫また工夫の取り組みが運営者の熱い思いを物

 語っているようです。

  同センターの愛称は「TOMATO」。「と」だの「ま」ちでみんな「と」

 もだち、の気持ちを込めたそうです。

  3者融合、という運営システムに似つかわしいネーミングであると思い

 ます。このシステム独特の課題もあろうかと思うのですが、この愛称が、

 それを克服していこうとする市民と職員の心意気を裏付けているようです。

 

レポートTOP

 

視察を終えて

 

3泊4日、7視察地。乗り継いだ列車は31本。

戸田市で予定時刻を超過するほど盛り上がり、最終の「のぞみ」に乗れるのかハラハラしながら東京駅へ。何とか間に合い、車中から東京タワーのイルミネーションを眺めて大きく一息、つきました。

市民活動センターの設置は私のかねてよりの持論。その実現に、市の理解も得てようやくこぎつけるところとなりました。

ここに人口規模の似ている7都市を対象に視察をさせていただき、ぼんやりしていた問題がすっきりと整理できたり、新たな観点を教えていただいたりの内容の濃い視察旅となりました。7者7様、どこに究極の理想像があるということでなく、市民活動センターの設立と運営にまつわる共通の課題を抽出しなおし、その推進と課題解決のためのさまざまな手法を勉強させていただくことができました。また必要とする敷地面積から備えるべき備品類の内容に至るまで、7者の平均値を採ればいいというものでなく、丸亀方式独自のものをオリジナルで構築しなければならないこともあらためて感じました。

何点か、検討事項を整理してみたいと思います。

 

今後の検討課題

○運営形態、民営化のステップ、指定管理者移行の問題

○条例など根拠法令の整備、総合計画等との連結、理論化

○趣味・サークル団体の登録の可否、「公共の担い手」となる団体の発掘、育成

○地縁団体との連携の問題をどう解決・整理するか

○市役所側窓口の1本化、横断化

○市民側活動団体の組織化

○立地条件、敷地必要面積の検討

○団体保険加入の制度

○ボラ団体、社会福祉協議会との位置関係

○参加者来訪者拡大のための工夫

 

 これらの諸点を今後、整理し、「市長に望む」政策提言に結びつけて、参考に資したいと思っています。

今回の私の視察体験が、市民と市役所の皆さんにとって参考になることを願ってやみません。

この場で、たった一人の議員視察のために真心から対応してくださった7都市の関係の皆様すべてに御礼申し上げます。おかげ様で丸亀市にも立派にセンターが立ち上がったと言える日を、ご期待いただきたいと思います。

レポートTOP

レポートTOP